受け継がれる江戸ことば

受け継がれる江戸ことば

実は上野風月堂の社内では今だ飛び交う江戸ことば。
ユニークな言い回しや粋な表現など、気風のいい江戸っ子の世界へようこそ。

まみえを描いてしばやに行ってうで玉子を食べる?

江戸っ子の定義は「三代続いて江戸に住んでいること」など諸説あるようですが、260年以上も、江戸・東京で代を重ねてきた風月堂では今もまさに「江戸っ子言葉」が花ざかり。そんな今も生きている江戸っ子の言い回しをここではご紹介いたします。

■まみえを描いてしばやに行ってうで玉子を食べる?

現在94歳、歌舞伎界最高齢のお弟子さんとして人気の中村小山三(こさんざ)さん(浅草 鳥越生まれ)が著書「小山三ひとり語り」(小学館)の中で芝居のことを「しばや」とおっしゃっているのを拝読しました。

実は小山三さんのように、明治、大正生まれの方たちの中には、芝居のことを「しばや」と言っている江戸っ子はたくさんいました。
江戸ことばでは「い」「や」「え」がなまって混在し、「しばや」のほかにも「眉毛」を「まみえ」と言ったり、卵を「ゆでる」を「うでる」と言ったりしたようです。また語尾、語中が変化して「遊び」を「あすび」と言うこともよくありました。
早口でつんのめるようにしゃべるのが特徴の江戸っ子、「い」「や」「ゆ」といったやわらかい音や、「そ」「す」のように抜ける音が発音しにくかったのかもしれせんね。
上野風月堂ではもうさすがに「芝居」を「しばや」と言う社員はいませんが、「うで玉子」は誰かがまだ言っているかも?しれません。(笑)

■「するってえと」は江戸っ子の日常語

「するってえと何かい?」
落語に登場する長屋の人々や、時代劇の岡っ引きなど江戸っ子がよく口にする言葉。皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
これは「そうすると」「そうするというと」が江戸風に短くなまったものです。
やはり気の短い江戸っ子、言葉をはしょってしまう癖があるようですね。
相づちをうつために「そうすると、こういうことなのかい?」という意味で素直に使っているときはいいのですが、江戸っ子は反論するときの勢いにこの言葉を使うこともありますので要注意(笑)です。
「するってえと何かい、これだけ頼んでいるのにお前さんは断るというのかい?」というように使います。

監修:堀口茉純