受け継がれる江戸ことば

受け継がれる江戸ことば

実は上野風月堂の社内では今だ飛び交う江戸ことば。
ユニークな言い回しや粋な表現など、気風のいい江戸っ子の世界へようこそ。

江戸っ子は宵越しの金は持たない

江戸っ子の定義は「三代続いて江戸に住んでいること」など諸説あるようですが、260年以上も、江戸・東京で代を重ねてきた風月堂では今もまさに「江戸っ子言葉」が花ざかり。そんな今も生きている江戸っ子の言い回しをここではご紹介いたします。

■江戸っ子は宵越しの金は持たない

その日に稼いだお金は翌日に持ち越すことなく、その日中に使い果たすという意味。
あまり思い悩んでクヨクヨしない、お金にキレイでお金離れが良いという江戸っ子の気風の良さを表しており、自慢でもありました。
しかし理由は他にもあったようです。火事と喧嘩は江戸の花と言われるほど火事が多かった江戸の町。今の銀行のようなものはありませんから、コツコツ貯金していても一晩で無くなってしまうということもありました。
また天気によって仕事の有無が左右される職人や、屋台や棒手振りの商人などもその日その日で収入が違います。そんな日常を少し粋がって表現していたのかもしれませんね。
もちろん、きちんと貯金をして将来設計を立てていた人もたくさんいるわけですから、必ずしも江戸っ子が無計画に生きていたということではありません。
お金のことをいつまでもグズグズと言わないという、江戸っ子の心意気を表しているのでしょう。

■江戸っ子は五月の鯉の吹き流し

このあとに「口先ばかりではらわたはなし」と続きます。
5月の空に泳ぐ端午の節句の鯉のぼりや吹流しは、ご存知のとおりお腹の中はからっぽ。

「威勢よくポンポンとモノを言うけれど、お腹の中に何か残したり、悪巧みをすることはなく、さっぱりしている」という気性を鯉のぼりになぞらえて表した言葉です。
粋でいなせを身上としている江戸っ子は、お世辞を言うことが苦手で、さらに口の悪さが愛情の裏返しだったりするから、ちょっと面倒くさい?(笑)
現代でも東京っ子は、早口でハギレのよい話し方が特徴。
江戸時代から代々続いた歌舞伎役者のインタビューなどを聞いていると、舞台でのおごそかな口調からは思いもよらない、勢いのよい江戸ことばが出たりして面白いですよ。

監修:堀口茉純